インドネシアで『ディオニュソス』を上演
今年のSCOTサマー・シーズンでも上演した、日本・インドネシア・中国版『ディオニュソス』。インドネシアの古都ジョグジャカルタにある世界遺産プランバナン寺院群に隣接する野外劇場で、9月29日、30日の2日間にわたって公演を行いました。
収容人数1200人の大きな野外劇場で、舞台の背景にはプランバナン寺院が浮かび上がり、頭上には星空が広がります。ブラックボックスの利賀大山房とは全く違う、壮大な空間で上演された『ディオニュソス』ですが、スズキ・トレーニング・メソッドの身体性や呼吸、インドネシアの俳優たちのもつ集団性など、俳優たちが共有する身体や意識が壮大な空間に匹敵するアンサンブルとなり、力強い作品になっていました。
また、プランバナン寺院群はヒンドゥー教の遺跡であり、それを背景にギリシャ悲劇が上演されると、舞台に次々と現れてくる僧侶や信女たちは、まるでその方角からテーバイに侵入してきた異教の徒のようであり、『ディオニュソス』に描かれる宗教による集団や政治の対立をより強く感じました。
利賀とは舞台の広さや床の質感が全く違うため、俳優たちは立ち位置や動きをそれぞれ何度もチェックします。
稽古の合間の食事は寺院の見える裏庭で。インドネシアの俳優たちは、自国では心なしか日本にいるときよりリラックスしているようにも見えました。
会場には物販ブースも出ており、舞台写真を使ったTシャツ、トートバッグ、傘などを販売していました。
日本とインドネシアの共同制作によるこの『ディオニュソス』は来年シンガポールで上演し、第9回シアター・オリンピックスで再び日本で上演します。稽古や様々な劇場での公演を重ね、シアター・オリンピックスではどのような上演になるのか、今からとても楽しみです。
本作品の制作過程や稽古の様子を8月のブログで紹介しています。下記関連リンクから、そちらもぜひご覧ください。